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あなたは無能に陥っていないか?有能であり続けるために!『ピーターの法則~創造的無能のすすめ』を読んで(レビュー)

会社で読むようにと配られた『ピーターの法則~創造的無能のすすめ』。最初は何のことやらと思っていたものの、「無能」という言葉に興味をそそられ読んでみることにしました。

ピーターの法則~創造的無能のすすめ ピーターの法則~創造的無能のすすめ
『ピーターの法則~創造的無能のすすめ』
(ローレンス・J・ピーター、レイモンド・ハル著/渡辺伸也訳/ダイヤモンド社/2003年)
ピーターの法則~創造的無能のすすめ

本自体はすごく読みやすかったですが、内容はある意味なかなか衝撃的でした。この世の中で起きている不可解だったことも、一応この本の内容で説明が可能だったりするほどです。読み終えた今、なぜ会社でこのような本を配ったのか、その意図がよくわからなかったりします…(もう無能レベルに達してしまったのかな?)

そんな『ピーターの法則』について内容をまとめてみました。Wikipediaの項目も併せて参考にしてください。

「ピーターの法則」とは?

「ピーターの法則」とは、この本の著者でもあるローレンス・J・ピーター氏の研究によって提唱された階層社会学上の法則となります。

  • この階層社会で生きていく限り、遅かれ早かれ人間はみな無能化していく
  • 社会の多くのポストはこうした無能化した連中で溢れかえり機能しなくなる
  • 実際に仕事は、無能化する前の人間によって行われている

ある人が現在のポスト(地位)で有能に仕事をこなしていれば、遅かれ早かれ次のポストへと昇進していくことは自然のことです。昇進先のポストでも有能に仕事をこなせば、また然り。このように昇進を重ねていくうち、いずれは自分の能力ではカバーできないポストにつくことなります。そうなると、そのポストに見合った仕事ができないため、役立たずとなり最終的には無能の烙印を押されてしまうことになります。

つまり有能でいられるのは、自分に適した仕事を行えているときだけということになります。ただ悲しいことに、そのポストで有能と認められれば、必ずその次の昇進が待っています。昇進先のポストでもまた有能と認められれば、また次の昇進が待っています。このように階層社会では有能と認められるうちは昇進を重ね続けるのがもはや宿命となっています。ただ裏を返せばこれは「無能レベルへの昇進」へと一歩ずつ着実に近づいているとも言えるのです。恐ろしい話です…。

どんなに有能に仕事をこなしていた人でも、こうして昇進を重ねることにより、最終的に「無能レベルへの昇進」を果たすことになります。これが「ピーターの法則」です。

無能レベルに達すると?

「無能レベルへの昇進」を果たした人間はその後どうなってしまうのでしょうか。本書によると「終点到達症候群」という病にかかってしまうそうです。これは自分がまったく有益な仕事ができていないことに気づくことにより滅入ってしまい、最終的に体調を壊してしまうということです。

それと同時に、自分の仕事を全うすることができないがために、奇妙な行動をとり始めるようになるということです。自身の周りで本書に書かれているような奇妙な行動をとっている人がいたら、その人は既に無能レベルに達していると判断できる指標となります。これは大変興味深いところです。

多くのポストは、こうした無能レベルに達した者によって埋められることになります。社会がうまく機能しなくなるのも至極当然のことです。

無能レベルに達しないためには?

それでは無能レベルに達しないためにはどうすればよいでしょうか。単純に考えれば「昇進しなけりゃいい」ということを思いつきますが、本書によるとやっぱりその方法しかないようです。ただ昇進を断ることは、この現実生活において大変難しいことです。昇進を断ったことを家族に知られたら何を言われるかわからないし、世間的にも変な目で見られることは容易に想像がつきます。

そこで、本書がすすめているのが「創造的無能」の実践ということになります。昇進を断るのは上記のように困難だとしたら、今のポストから昇進しないように無能を演じればいいというわけです。その方法として、終点到達者(「無能レベルへの昇進」を果たした人間)に現れる病気以外の症状を1つか2つ外に向けて示す、これを実行することと書かれています。もちろん現在の仕事に支障を来たさない程度に。

そうすることにより次のポストへの昇進を避けられ、自分の能力をフルに活かせるポストに留まることにより、有益な仕事を成し遂げられるようになるというわけです。それは、昇進願望にも勝るとのことです。


確かに周りを見渡せば、無能だと感じざるをえない人たちはたくさん存在していると思います。ただ彼らは決して最初から無能だったのではなく、ある段階から自分の能力に不適格なポストに昇進したことによって、そのポストに見合った能力を発揮できていないだけなのです。「ピーターの法則」を理解することにより、こうした階層社会によって生じている現象を明確に捉えることができるようになると思います。

また、同時にこの階層社会を生きていく上で、個として自分はどのように生きるのが望ましいのかを改めて考えさせてくれると思います。「昇進」とは誰もが憧れるものだと思います。しかし「ピーターの法則」にかかれば、「昇進」とは「無能化というゴール」への階段でしかないのです。

この考え方にはかなりショックを受けています。頭では理解できていても、(例え自分の能力で務まるかわからない)大きなポストへの昇進に憧れる自分がどこかにいるのも確かです。ただ、やはり自分の能力以上のポストに就いたところで、何もできずに取り乱すだろうことは目に見えて明らかなのもまた確かなことです。

したがって思う存分自分の能力の発揮できるポストにいるうちは、とにかくそのポストでいられることに感謝し、やるべき仕事に対し真摯に励めばいいと思います。もちろん「創造的無能」を演じながら。次のポストへの昇進を望むのであれば、焦らずに次のポストでも十分に仕事をこなせる能力を身につけてからということになりますね。

ひとりでも多くの人がそのような生き方を選択したとき、有能と認められる状態で働ける人々の絶対量は増え、それは結果的に無能者の増産を抑えることになることでしょう。それこそ、個にとっても、社会にとっても健全な状態であると思います。しかし、そのような世の中の実現はきっと難しいんでしょうね…。そんなことを考えさせてくれた本でした。興味のある方はぜひお読みください!

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