私の勤めている会社では、ブログ形式のウェブマガジンのサービスを提供しています。記事にはそれなりのお金をかけ、複数のプロのライターさんに執筆の依頼をしています。従いまして、記事に関してはある一定のレベルを保ったウェブマガジンとなっています。しかしながらアクセス解析を見ると、残念なことにたくさんの記事が読まれずに埋もれてしまっている状況が続いていました。
多くの方に記事を読んでもらうことを目的としているサービスなので、これではまったく意味をなしていないことになります。10月中旬より本腰入れて対策を行うことにしました。アクセス数を増やす(SEO対策)ということよりも、「確実に記事を読んでもらい、さらに他の記事も読んでもらう」ことを目的としました。結果は徐々に現れはじめ、3ヶ月前の9月のページビュー数と比べ前月11月のページビュー数は実に5倍もの伸びを見せています。
どのような施策を行ったかいくつか紹介させていただきます。しっかりした記事をいくつも書いているのにも関わらず、思うように記事を読んでもらえていない状況が続いているようでしたら、ぜひお試しいただければと思います。なお、このブログでも同様の施策をいくつか行っていますので、参考にしていただければと思います。
記事を読んでもらう施策(サイト滞在時間を増やす)
まずは、せっかく訪問してくれた方に確実に記事を読んでもらえるようにします。おそらくほとんどの場合、検索エンジン経由での訪問が多いと思います。訪問者の求めている情報がない場合は仕方ないですが、訪問者の求める情報があるにも関わらず、読みにくいのが理由で読んでもらえないのはとても残念です。
私の会社のブログでは、とにかく記事が読みにくく、訪問者の求めている情報がどこに書いてあるのかがわかりにくくなっていました。そこで以下の施策を行いました。
1. 文字間、行間、段落間、文字の大きさ、文字の色の工夫
ブログの何と言っても「文字(テキスト)」コンテンツです。文章が読みにくければ、それは致命的とも言っても過言ではないはずです。CSSのletter-spacing(文字間)、line-height(行間)、margin(段落間)、font-size(文字の大きさ)、color(文字の色)などを使って、文章が読みやすくなるように調節します。実際の本のレイアウトを参考にするのもよいと思います。
<参考サイト>
また、このブログでは見栄えをよくするために、CSSのtext-alignとtext-justifyで以下を指定し、文章の右端が一直線に揃うようにしています。
2. 見出しの工夫
すべての訪問者が上から下まで全部読んでくれるとは限りません。自分の求めている情報が短時間で見つからなければ、すぐにページから離脱していってしまうことでしょう。適度に見出し(h1~h6)を入れて、どの箇所にどのような情報が書かれているのか、一目でわかるようにします。
また文章との差別化を図るために、見出しのデザインも目立つように工夫すると、より効果も大きくなることでしょう。
<参考サイト>
3. ブラウザ対応
できればやっておきたい対策です。特にInternet Explorer 6/7/8は個別に調整が必要だったりするので、ひょっとしたら表示がすごく崩れていたり、JavaScriptが動かなかったりする場合があります。そうだった場合やはり訪問者はすぐにページから離脱していってしまうことでしょう。アクセス解析を見て、これらのブラウザでの閲覧が多いようであればブラウザ対応を行う意味はかなりあると思います。
<参考サイト>
IEの動作チェックには以下のツールが使えます。
<IE動作確認ツール>
- IE Tab Multi (Enhance)(Chrome用機能拡張)
- IETester(Windows用アプリ)
- Adobe BrowserLab(2012年4月まで無償)(Webサービス)
4. モバイル対応
それから、忘れてはいけないのが、モバイル(スマートフォン、タブレット、携帯)対応です。このブログでは、アクセス解析を見ると、特にAndroidからのアクセスが急増しています。モバイル機器で閲覧した際に表示が崩れないことはもちろん大事ですが、さらにモバイル向けにカスタマイズされていると、よりモバイルユーザーの心を掴むブログになると思います。
ブログのカスタマイズを苦にしない方であればjQuery Mobileなどを使って自由にモバイルサイトを構築してもらってかまわないと思います。ただWordPressには便利なプラグインがあります。このブログでは以前の投稿『WordPressをiPhone・ケータイ(携帯)に対応化!』でも紹介した通り、モバイル向けに以下のプラグインを使っています。
<モバイル対応用WordPressプラグイン>
- WPtouch(タッチデバイス向け)
- Ktai Style(携帯向け)
他の記事を知ってもらう施策(PVを増やす、直帰率を減らす)
記事をよく読んでもらえるようにしたら、次は他の記事も読んでもらえるようにします。記事を読んだ訪問者は、ひょっとしたら他にも自分の求めている情報について書かれた記事があるかもしれないときっと考えることでしょう。しかしながら、そのような記事が他にもたくさんあったとしても、記事が見つけにくければ、訪問者はその記事の存在を知ることなく離脱していってしまいます。
訪問者は初めて訪れたブログの仕組みや構造なんて何もわかりません。無理してまで得体の知れないブログを探索しようとも思わないはずです。また、どんな情報があるのかもわからないのに、検索フォームを使って検索することもまれでしょう。最初に訪れた記事を読んだら直帰してしまうケースがほとんどだと思います。従って、訪問者が何もすることなく他の記事の存在がわかるようになっていることが望まれます。
私の会社のブログでは、やはり他の記事への導線がうまくできておらず、一人当たりの平均ページビュー数も限りなく「1」に近くさんざんたるものでした。そこで以下の施策を行いました。
5. 関連する記事一覧の表示 オススメ!
お手軽で、効果も期待できるオススメな施策です。いろんなブログを見ていると、記事の最後の部分によく「この記事に関連した記事一覧」と言ったものをよく目にすることと思います。まさにこれをやってしまおうということです。
記事を最後まで読んでもらえたということは、その記事に関心があると受け取っても良いと思います。そこで、その記事に関連した記事の一覧を用意しておくことで、他の記事への訪問の確率も高めることができます。関連記事は自分で選定して、記事の最後の部分に掲載してもよいですし、WordPressであれば、関連記事の選定から掲載まで自動で行ってくれる「Yet Another Related Posts Plugin(YARPP)」というプラグインを利用してもよいでしょう。またsix apart社の提供するブログパーツ「zenback」も高機能でオススメです。
6. カテゴリー、タグクラウドの導入
たいていのブログには記事に「カテゴリー」や「タグ」を付ける機能が備わっていると思います。記事に「カテゴリー」や「タグ」を付けることで、「カテゴリーページ」や「タグページ」が生成され、記事にはその「カテゴリーページ」や「タグページ」へのリンクが表示されるようになります。訪問者の興味を引くカテゴリーやタグがあれば、そこから多くの記事へと導くことも可能となります。
7. トップページ、カテゴリーページの工夫
有名人のブログであれば直接トップページにアクセスされることが多いと思われますが、私の会社のブログや当ブログではめったにトップページに直接アクセスされることはありません。ランディングページはほとんど記事のページであり、場合によってはそこからトップページやカテゴリーページに訪問されるという感じです。
そこで考えたいのはトップページやカテゴリーページの構成(デザイン)ですね。運良くトップページやカテゴリーページにアクセスしてもらえた場合に備えて、当ブログではトップページやカテゴリーページの表示は「記事のタイトルのみ」とし、ファーストビューでできる限り多くの記事の存在を知ってもらえるようにしました。
トップページやカテゴリーページの構成については先日書いた以下の記事も併せてご確認いただければと思います。
8. 他の記事へのリンクの設置、アンカーテキストの工夫
自分の書いた記事に対する「被リンク」がなかなか増えないと悩むこともあるかと思います。ただ確実に「被リンク」を増やす方法があります。それは自分の他の記事からリンクさせるということです。既存の記事に関連した記事を書いた場合は、積極的に本文内で該当記事へのリンクを張り、併せて読んでもらえるようにします。この方法が手っ取り早く確実です。
その際に、以下を意識すると、より効果を発揮すると思います。
- リンク先へ訪問してもらえるような文章の流れ
- 訪問者の興味を引くようなアンカーテキスト
再訪問してもらう施策(リピーターを増やす)
記事を読みやすくし、他の記事への導線も整ったら、最後に何度もブログを訪問してもらえるようにします。求めていた情報についての記事、それに関連した情報の記事を読んだ訪問者は、その記事について忘れないようにしたいと思うかもしれません。また時間がある時に別の記事も読んでみたいと思うかもしれません。そして何度も訪問してもらえるようになれば、自ずとページビュー数も増えていくことになります。そのためにも、よりブログに興味を持ってもらい、最訪問を促せるようにしておくことが望まれます。
私の会社のブログでは、ただ記事をアップしただけのものとなっており、再度訪問したくなるような工夫がまったくなされていませんでした。そこで以下の施策を行いました。
9. ソーシャルボタンの設置
Facebook、Twitter、Google+などソーシャルメディアの利用者は年々増えており、我々の生活にかかせないものとなりつつあります。こうしたソーシャルメディアを利用してリピーターになってもらうための施策がソーシャルボタンの設置です。訪問者の気になる記事があればボタンを押してもらえるでしょう。それは、再度記事を読みたい、さらには他の人にも記事を紹介したいという意思表明と捉えることもできます。またボタンを押された数は、その記事を判断するための指標にもなります。
ソーシャルボタンは、前述の「zenback」やWordPressであれば「WP Social Bookmarking Light」というプラグインを使うことで簡単に設置する事があります。
ソーシャルボタンについては先日以下の記事を書いています。併せてご確認いただければと思います。
10. Favicon(ファビコン)の設置
Favicon(ファビコン)とはFavorite iconを略したもので、そのサイトを表す「印・マーク」となります。Faviconはブラウザの「ブックマーク一覧」「アドレスバー」「タブ」などさまざまなところで表示され、ページの存在を印象付けるのに一役買ってくれます。従って、ページが見つけやすくなっていれば、それだけ訪問される確率も高くなるというわけです。ぜひ、多くの人の目を引き付けるようなFaviconを設置したいですね。
FaviconにはICOフォーマットという独特の画像ファイルを用います。Faviconの作成には以下のサイトが役に立ちます。
Faviconが準備できたら、HTMLの<head>内に以下の2行を追加します。
<参考サイト>
11. コメント機能の実装
たいていのブログにはコメント機能が実装されています。コメントを書いた訪問者は、そのコメントに対する反応を確認するために再度訪れてくれることでしょう。コメントスパムなどに悩んでいなければ、コメント機能はストップしない方がよいと思います。
12. プロフィールの充実
記事に興味を持ったら、その記事を書いている人物にもおそらく興味を持つはずです。記事を書いている人が誰でどんな背景を持った人物なのかわかれば、記事の印象もより強くなるはずです。また再訪問という意味で考えた場合でも、誰が書いたかわからないブログよりも、再訪問される可能性が高いというのは明らかでしょう。そのためにもプロフィールページは簡単でもよいので設置しておくと良いと思います。
- 私のプロフィール(参考にどうぞ…)
<参考サイト>
余談となりますが、プロフィールページを設置したら、ぜひ以下の施策も併せてお試しいただければと思います。
以上の施策を行うことで、ページビュー数はそれなりに増えると思われます。特にブログを始めたての方で、うまくページビューが増えずに悩んでいたら、この施策を試していただければと思います。どうしても検索エンジンからブログへのアクセス数を増やすためのSEO対策をまず始めにやらなくてはと思われがちですが、まずは今回紹介したページビューを増やす施策を行い、その後にSEO対策を行った方がより効果が現れると思います。また数値として目標を立てておくことも同時に行っておくとよいですね。
ページビュー数はある程度増え続けると、そのうち頭打ちになると思います。そうなると私もまだ体験したことのない次元の世界となります。記事ももっともっと工夫し、更新頻度も増やすべきだろうし、デザインももっともっと洗練させたものにする必要があるのでしょう。いつ来るかわかりませんが、その時が来たときに改めて深く考えたいと思います。ちょうど2011年も年末に差し迫り、今年のWebデザイン関連の良記事をまとめてくれたブログエントリーも出始めました。すごく参考になると思いますので、多少主旨はずれますが最後に以下を紹介しておきます。
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