「はたらくこと」とは何ぞや?ホリエモン著『ゼロ』を読んで(レビュー)

ホリエモンこと元ライブドアCEOの堀江貴文さんの最新著作『ゼロ – なにもない自分に小さなイチを足していく』。Twitterなどネット上で話題になっているので、さっそく読んでみました。

堀江貴文著『ゼロ - なにもない自分に小さなイチを足していく』
『ゼロ – なにもない自分に小さなイチを足していく』
著者: 堀江貴文
出版社: ダイヤモンド社
発売日: 2013年11月1日
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『ゼロ』というタイトルが示すのは、ライブドア事件により収監されて、会社も地位も名誉も信用も全て失い、堀江さん自身が現在何もない「ゼロ」の状態にあること。そして同時に出所後の新たな人生を歩んでいくための歩を進めたという、そのスタート地点を意味する「ゼロ」。

そして本書のテーマでもある「働くこと」という意味において、ご自身の成功もすべては最初から約束されていたものではなく、「ゼロ」からこつこつと「イチ」を積み重ねてきた結果によるものであり、すべての人にも同様に「働く」ことで「イチ」を積み重ねていけば成功のチャンスは必ずあると、自分のこれまでの生い立ちを引き合いに出して説いています。

自分も現在離職中で、ちょうど「働くこと」について考えている時期でもありました。本書を読んで、不器用な部分とか没頭しやすい部分とか自分と共通する部分があったりして、そういう意味でも大変やる気と勇気を与えてもらえた気がしています。そんな本書について簡単にまとめておきます。(ネタバレを含みますのでご注意ください!)

ホリエモンの生い立ち

これは本書にも書いてあるように、これまであまり公にしてこなかった部分ということで、大変興味深い部分でした。結論から言うと「至って普通」だなという感想です。むしろ自分の方がよっぽど恵まれていたかもしれないと思ったほどです。一般的な家庭に育ち、高校大学と進学し、大学では遊び呆ける、その辺にいる我々となんら変わりありません。ただそこには堀江さんを働くことに目覚めさせるための要素が十分にあり、着実に「イチ」を積み重ねてきた事象があったことがわかりました。

ホリエモンの育った家庭環境

福岡県八女市に生まれた堀江さんは一人っ子で、両親は共働きのいわゆる一般的なサラリーマンの家庭で育ったようです。ただ、両親はそれほど家庭を重視しておらず、授業参観には来ないし、家族旅行も一度しかしなかったと。お小遣いはなく、ファミコンなども買ってもらえず、ひたすら家にあった百科事典を熟読する日々を送ったようです。また、母親の気性が激しく、嫌々ながら週3回柔道道場に通わされたり、友達ともそれほど遊べなかったとのことです。本書で「働くことは自由へのパスポート」と述べられているように、堀江さんは働くことで、そうした環境から脱していきました。要するに「抜け出すこと = 自立すること = 働くこと」という考えに至ったということです。

学生時代のホリエモン

ここも大変興味のあった部分になります。いくら普通の家庭に育ったとは言え、普通に育たなかったのが堀江さんの凄いところです。やはり学生時代から非凡ぶりを発揮しています。中学時代にはプログラミングに没頭し、当時在籍していた塾の教材システムの移植を一人で成し遂げたり、あとは何と言っても東大合格でしょう。高校時代はずっと下の方の成績だったにも関わらず、自分なりの受験勉強方法を確立し、現役で東大に合格してしまうところはさすがの一言です。それから、大学時代にはヒッチハイクに明け暮れていたといいます。この時の経験により、度胸や交渉力が身に付いたといいます。学生時代の堀江さんは常に何かに「没頭」し、「イチ」を積み重ねてきたということがわかります。

「はたらく」ということ

本書のテーマでもある「はたらく」ことについて印象に残ったことを以下に書いておきます。「はたらく」とありますが、本書では「労働する」という意味ではなく、すでに上でも触れているように「イチ」を積み重ねる生き方を意味しています。そのような生き方をする上でポイントになってくるであろうことを挙げてみました。

「ノリの良さ」

堀江さんは、目の前に流れてきたチャンスに躊躇なく飛びつくことができることを「ノリの良さ」と表現しています。「イチ」を積み重ねるのに「ノリの良さ」が重要だと説いています。これをやれば必ず人生が変わると言われたときに、すぐにそれを実行できるかできないか。「ノリが悪い」人は何かとできない理由を挙げてやろうとしません。「イチ」を積み重ねることができず、結局前に進むことができません。「イチ」を積み重ねる上で重要なのは、とにかく何でもためらわずに実行に移せる「ノリの良さ」だと言うことです。

「悩む」と「考える」

なかなか面白いと思ったのがこれで、「悩むことは物事を複雑にし、考えることは物事をシンプルにする」という考え方です。常に重要な決断を迫られていた堀江さんは、考えることで物事をシンプルにし即決即断を行ってきたということです。 一方の「考える」とは、物事をシンプルにしていく行為である。複雑に絡み合った糸を解きほぐし、きれいな1本の糸に戻していく。アインシュタインの特殊相対性理論が「E=mc2」というシンプルな関係式に行き着いたように、簡潔な原理原則にまで落とし込んでいく。それが「考える」という行為だ。

我々が「イチ」を積み重ねる上でも、重要な決断の局面に立たされることもあると思います。そこで悩んでいたら先に進めないわけであり、やはり即決判断して前に進むには「考える」ことが重要になってくるというわけです。

キョドる = 経験不足

「キョドる」とは、挙動不審、つまり何かに怖じ気づくということです。堀江さんは30代の中頃まで女性に対してキョドっていたとのことです。それは一人っ子、男子校出身というところにも起因し、女性に接するという経験が乏しかったからといいます。これは別に女性に接することだけでなく、例えば人前で話すことや、行動を起こすことなどにも当てはまることです。何かにキョドるということは、その何かに対して自信がない、つまりは自信を形成するための「経験」が圧倒的に不足しているということになります。そして経験とは、 経過した時間ではなく、自らが足を踏み出した歩数によってカウントされていく と説いています。

キョドらないためには、自信をつけることが大事で、そのためには経験を積むこと、つまりは「イチ」を積み重ねていくことに繋がっていきます。


最終ページには一言こう書いてありました。はたらこう。つまりは、「イチ」を積み重ねて行こうと。そして、これは堀江さんからの強烈なメッセージだと思いますが、収監され全てを失い「ゼロ」の状態になった堀江さんと比べれば、読者である我々の方がすでに多くの「イチ」を積み重ねた状態にあります。何も恐れずこのまま前に進みましょうと言うことではないでしょうか。失敗したとしても「ゼロ」に戻るだけ。「ゼロ」に戻った堀江さんのこれからの活躍は、我々に大変大きな勇気を与えてくれるに違いありません。失敗して「ゼロ」に戻ったとしても、堀江さんのように「はたらき」続ければ、再び充実した人生が送れると。

最後に、堀江さんは自分ではそう思っていなかったようですが、端から見ればとんでもない「努力の人」のようです。ただ堀江さん的には「没頭している(ハマっている)」にすぎないと。ハマれば努力も努力にならないと。「物事にハマる ⇒ 「イチ」積み重ねる ⇒ 経験を積む ⇒ 自信をつける」、この繰り返しが堀江さんの生き方なのかもしれません。実にシンプルでわかりやすいです。本書の最後の一言「はたらこう」に対して、シンプルに「はたらきます」と返すのがよいのでしょうかね。

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