ソーシャルテクノロジーが生み出す「世界で成功するための企業戦略」の立て方とは?

前回の投稿『つながりはじめた人々の力とは?企業戦略のバイブル『グランズウェル』を読んで(レビュー)』に引き続き、最近読んで大変勉強になった名著『グランズウェル ~ソーシャルテクノロジーによる企業戦略』から、覚えておきたいと思った「グランズウェル戦略の立て方」についてまとめておきます。

本のタイトルにもなっている「グランズウェル(大きなうねり)」とは、「人々のつながりから生み出される力」と言うことになります。ブログ、SNS、コニュニティ、Q&Aサイトなどのソーシャルテクノロジーの発達によって、われわれは世界中の人々と簡単につながることができるようになりました。次第にそのつながりは、時としてひとつの国の存続でさえも脅かしてしまうほどの力を秘めているということがわかってきました。国ですら傾けてしまうこの「つながりの力」、企業を傾けることなどたやすいわけです。

今後この「グランズウェル」を無視することはできないとして、本書では企業として「グランズウェル」とどう向き合い、どのように経営に活かしていくかについて説明してくれています。それを実践するために、本書では体系的なフレームワークに従うことを提唱しています。このフレームワークは4段階のプロセスから成り立ち、それぞれの人間(people)、目的(object)、戦略(strategy)、テクノロジー(technology)という各段階の頭文字をとって「POST」と名付けられています。

この「POST」について、段階ごとに簡単にまとめておきます。

人間(People)

まず、グランズウェル戦略を立てる上で、自社サービスのユーザーがグランズウェルに対してどのような関わり方をしているのか把握する必要があります。例えば、ウェブの閲覧が中心というユーザーの多いサービスを運営していた場合、口コミやレビューを書いてもらうように促すといった戦略は不向きと言えるでしょう。

そこで、ユーザーの特性を把握するための方法として「ソーシャル・テクノグラフィックス・プロフィール」が紹介されています。ユーザーを以下の6つのタイプに分けることで、ユーザーのソーシャルテクノロジーの利用度を把握することも容易になり、効果的なターゲットの絞込み・戦略立案が可能となるということです。

ソーシャル・テクノグラフィックス・プロフィール

  • 創造者:月1回以上の頻度でブログを書いたり、ウェブサイトを書いたり、ウェブサイトに記事を投稿したり、ウェブページを更新したり、YouTubeのようなサイトにビデオや音声ファイルを投稿したりしている人々
  • 批評者:ネット上のコンテンツに反応する人々
  • 収集者:ソーシャルブックマークサイトにURLを保存してタグを付けたり、サイトに投票したり、RSSフィードを使ったりする人々
  • 加入者:マイスペースなどのSNSに加入し、プロフィールを更新している人々
  • 観察者:他社のコンテンツを利用する人々
  • 不参加者:前述した活動のいずれにも参加していない人々

目的(Objectives)

自社サービスのユーザーの特性が掴めたら、次は何のためにグランズウェル戦略を行うのか「企業としての目的」を明確にします。サービス向上のためにユーザーの声を集めたいのか、自社製品の認知度を高めるためにユーザーと会話したいのか、自社製品の売上をアップさせるためにユーザーに協力してもらいたいのか、それぞれで戦略の立て方は異なってきます。

本書では、目的を明確にする上で、以下の「グランズウェル戦略を成功に導く5つの目的」から自社に合ったものを選ぶとよいとしています。まずはよくばらず1つから始めて、それがうまくいった後に別のものに取り掛かるようにするのが望ましいということです。

グランズウェル戦略を成功に導く5つの目的

  • 耳を傾ける(傾聴戦略)
  • 話をする(会話戦略)
  • 活気づける(活性化戦略)
  • 支援する(支援戦略)
  • 統合する(統合戦略)

戦略(Strategy)

目的を明確にしたら、次はいよいよ戦略を立てていきます。どれくらいの期間で行っていくのか?成果が出始めたらその後の展開はどうするのか?グランズウェル戦略によって自社にもたらす影響をどう受け止めるのか?責任者、担当者、予算はどうするのか?など十分に考えておきます。

この「戦略」に関しては、それぞれの企業にお任せということなのか、それほど詳しくは書かれていませんでした。とにかく十分に戦略を練らないと失敗しますよということのようです。

テクノロジー(Technology)

人間、目的、戦略の3つを定義できたら、最後にそれに合った「テクノロジー」を選びます。もし自社でアプリケーションを開発できないのであれば、パートナーを選ぶ必要がありますが、その際は自社サービスのユーザーの目的を理解できる企業を選ぶことが望ましいということです。


以上のような流れで「グランズウェル戦略」を立てていくことになるのですが、特に大事なのは「人間」と「目的」の部分だと思います。戦略を立てる上で、「ソーシャル・テクノグラフィックス・プロフィール」のどのタイプのユーザーを対象とするのか、そしてそのユーザーたちを対象として何を目的するのか、この2つがしっかりと決まっていれば「戦略」と「テクノロジー」は自ずと決まってくることと思います。

あとはこの『グランズウェル』の豊富な事例を参考に戦略を実行していけばよいと思います。本書には一度グランズウェル戦略を実行に移したら後戻りはできないとして以下のように書かれています。 今、あなたは会社と顧客の関わり方を根底から変えようとしている。このプロセスを成功裏に完了するには、自分自身が不屈の精神を持つだけでなく、社内調整にも時間をかける必要がある。 つまり、やるからにはそれなりの覚悟が必要というわけです。ただグランズウェル戦略を実行した場合のリスクと実行しなかった場合のリスクを比べたら、自ずと前者を選択することになるのは明らかだと思います。 今こそ、グランズウェルと関わる時だ。それが、会社の未来を作ることになる。 まさに、そういうことだと思います。

コメント一覧

  • 必須

コメント